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北京 便利で不便路線バス

2012年07月04日

 今の中国は便利さと不便さが混在しているが、北京のバスはその一例だと思う。

 北京のバス路線は多い上に複雑。ただ、今はお勧めの行き方を教えてくれる専用のインターネットサイトがある。出発地と目的地を打ち込めば、乗り換え場所や路線、所要時間を示してくれるので、初めての場所でも簡単に行き方が分かる。

 しかし先日、このサイトで事前に調べた上でバスに乗ろうとしたが、乗り換えるバス停が見つからない。同じバス停の名前でも路線によって場所はばらばら。加えてサイトが示す位置が実際の場所と数百メートル離れていたからだった。

 別のサイトでバス停の正確な場所を調べ直し、再び挑戦したがやはり見つからない。ここのはずだと近くの店で尋ねたら「そう。ここの中だよ」と、バスが何十台も並ぶ「駐車場」を指した。

 日が沈み薄暗い中、電灯1つなく人けもない。聞き間違えたのではと恐る恐る踏み込むと、目が暗闇に慣れるにつれ、ぼうっとバスの出発を待つ人影が現れた。「駐車場」だと思っていたのは、バスターミナルだった。

 目当てのバスにたどり着くまで一苦労するが、それだけに目的地に到着した時のうれしさはひとしおだ。便利なようで不便、だけど安くて面白い。北京のバスにはそんな魅力がある。 (新貝憲弘)