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モスクワ 生活の中短い春実感

2012年06月28日

今年のモスクワには「春」がほとんどなかった-。5月中旬の週末、モスクワ郊外の農村地帯で出会った農家の人たちが口をそろえた。なぜか。彼らの答えはこうだった。

 第一。「ぬかるみの中で、畑の耕作を始めなくてはならなかった」。3月の雪解けでぬかるんだ大地は4月中の暖かさで適度な湿りに潤う。農家は例年、29日ごろから耕作を始める。ところが今年は、4月15日にも雪が積もったため、ぬかるみが消えず、「春が感じられなかった」という。

 第二。例年なら4月初めに姿を見せるカッコウが、今年は件(くだん)の積雪のため4月末まで見られなかった。例年通り、5月にはひなを育て始めてしまい、「春の訪れを感じさせる求愛の鳴き声の期間が少なかった」。

 第三。「シラカバジュースが2日間しか採取できなかった」。シラカバは例年、葉を出し始める直前の約10日間、幹を傷つけると雪解け水をたっぷり含んだ液体を出すという。健康にいいらしく、ロシア人はボトルにためてそれを飲み、春の到来を感じる。だが、今年はその期間が2日間しかなかった。

 モスクワは、気温の年較差が大きい亜寒帯湿潤気候。季節は冬と夏に大きく分かれるような感覚だが、ロシア人の「春」の感じ方を知る興味深い話だった。 (原誠司)

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