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ソウル 銀輪文化走りだすか

2012年06月29日

 ソウルを流れる漢江の河川敷に出掛けた。レジャー用の貸自転車に乗ってみて、韓国に来て1年余で初めて自転車に乗ったことに気づいた。ただ、私だけではない。当地では人と自転車の関係が近くないようだ。

 まず通勤、通学に使う姿は珍しい。前後に子どもを乗せた母親も見かけない。「冬のソナタ」の主人公のように2人乗りする恋人同士も現れない。駅前の路上駐輪もない。

 韓国には「冠かぶって自転車に乗る」との表現があると聞いた。ふさわしくない、みっともないとの意味だ。冠は昔、成年男子が頭にかぶった。立派な大人が汗を流してペダルをこぐ姿は体裁が悪いとの見方が伝統的に残る。道路は車優先で危なく、女性には特に乗らせたくないとの考えも根強いという。

 一方、日常の足ではなく、スポーツとしての愛好家はいる。都心で先日あったサイクリング大会は、参加した市民の多くが競輪選手さながら体に密着したウエアで決め、本気度が伝わってきた。

 ソウル市長も出場。環境に優しい自転車での出勤も検討したいし、自転車専用道も増やしたいと話した。市民運動家として寄付文化を韓国に広め、動物園のイルカショーを動物虐待として中止した異色の市長だから、「普段乗り自転車人口」が拡大するかもしれない。 (辻渕智之)

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