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ソウル 一石二鳥幸運の硬貨

2012年07月06日

 ソウル市中心部には、楽しみながら寄付ができるすてきな仕組みがある。本欄でも紹介した復元河川・清渓川(チョンゲチョン)の基点近くにある「幸運のコイン」がそれだ。

 川の中に設けられたつぼのような穴を目がけてコインを投げ、うまく入れば願いがかなうという趣向。「トレビの泉」のコイン投げのように、市民や観光客が挑戦している。

 穴には約2メートルまで近づけるが、直径が約30センチと小さく、思いのほか難しい。何度も投げ込む人が多いこともあり、2005年の同河川復元以来、今年3月末までで韓国、外国の通貨合わせ約7900万ウォン(約550万円)分のコインが投げ込まれた。

 このコインはどうするのだろう。ソウル施設公団によると、韓国のウォンはソウル社会福祉共同募金会に、外国貨幣は国連児童基金(ユニセフ)に寄付しているとのことだった。

 同募金会は、ソウル市内の低所得世帯に渡している。最近1年間分は、約300世帯の生活に役立てられた。

 記者は着任以来約7カ月間、何度コインを投げても失敗ばかりだった。ムキになって、手持ちをすべて投じたこともあった。ついに願い事はかなわないのかと嘆いていたが、「人の役に立つ」との願いはかなえられていたのだった。 (篠ケ瀬祐司)