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ニューヨーク 琴線に触れる「和心」

2012年07月16日

 ニューヨークにあるコロンビア大学で、学生らが「琴」の演奏を学んでいる。中世日本研究所に昨年9月、講座ができて、現地在住の琴奏者・石榑(いしぐれ)雅代さん(46)=岐阜市出身=が教壇に立っている。

 教室と、5月にあった演奏会におじゃました。ひんやりした研究棟の部屋から、柔らかい音色が聞こえてきた。演奏会ではその音色を、米国人の観客が目を閉じて聴いていた。学生の1人は「弾いている自分が心地よくなれる音。それが琴の魅力です」と話す。

 20年前に米国に渡った石榑さんは、オーケストラやジャズバンドなど“異文化”とのセッションを重ねてきた。「世界中の音楽がひしめくこの街で、邦楽を世界に引けを取らない対等なジャンルに根付かせたい」。新しい波が生まれては消えていく大都市で、変わらない「和心」を音に込めて伝えている。

 日本を離れて暮らしていると、「和」のものが無性に恋しくなる。それは「食」であったり「音」だったり、時には「空間」そのものであったり。ニューヨークは何でも手に入る世界最大の都市だが、本物とはいつもどこかが少し違っている。

 そんなときに聴いた「心」の音色。目を閉じると故郷の景色が浮かんだ。そういえば、「和」という文字には人の心を穏やかにさせる意味もあったと思い出す。 (青柳知敏)

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