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ローマ 一日にしてならず?

2012年07月18日

 ローマ市内三本目の地下鉄線の建設工事が進んでいる。全長約30キロ。運転士なしで運行されるC線は2016年開通の予定だ。

 路線が通るコロシアムからベネチア広場の間は古代遺跡の宝庫。遺跡保護のため地下約20~50メートルの深い層を通る。それでも、旧線と交わるコロシアム駅の拡張計画が発表された途端、文化財監督局と環境団体からクレームが出た。

 慎重な工事に数年を要する間、コロシアムの脇の道路は車線数を縮小される。ここの交通量は市内最大。ラッシュ時には1時間に3600台もの車が通過するから、渋滞すれば排ガス汚染がひどくなる。大理石に致命的なスモッグから遺跡を守るための地下鉄建設が、逆に深刻な大気汚染を招くのでは話にならない。

 「永遠のローマ」を象徴するコロシアムだが近年、遺跡の各所で石材が落下する。そこで「トッズ」という会社が2500万ユーロ(約25億円)を提供、大規模な修復が始められようとしている。年間500万人の見学者の安全のためにも周辺を歩行者天国とすべきだが、利便のよい車道を閉鎖する案には抵抗も大きい。

 時間も経費も超過が必至な地下鉄工事。しかし、あわてるには及ばない。新線は25年、膨大な数の信者と観光客が押し寄せるカトリックの「聖年」に間に合えばよいのだから。 (佐藤康夫)

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