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滄州 幸あれ経済の申し子

2012年08月01日

 出張先の中国河北省・滄州(そうしゅう)でチャーターした車の運転手は、街郊外の農村に住むいわゆる兼業農家だった。同い年だったので家族の話で盛り上がり、子どもについて尋ねると、長男(22)と長女(7つ)の2人で、15歳も離れているという。

 理由を聞いて納得した。1人っ子政策を続けている中国では、少数民族など特別な理由がない限り2人目の子どもをもうけると罰金を科される。当然、彼の場合も政策に違反しており、1万元(約12万円)ほどの罰金を支払ったという。

 罰金額は地域によって異なるが、彼の場合は以前なら年収に匹敵するほどの高額だったという。それが近年の経済成長で収入が急増し、罰金を払ってでももう1人子どもを持つ余裕が出てきた。「うちの周りでは、同じように、年の離れた兄弟姉妹を持つ例は少なくないよ」と話す。

 自宅横には来年結婚するという長男のためにもう1軒住宅を新築。20万元以上もする日本車を運転する彼にとっては、1万元の罰金もそれほどの負担ではないだろう。

 重要な政策まで有名無実化してしまう経済パワーに一抹の不安を覚える。「昔はとても子どもを2人もうけようなんて考える余裕はなかったよ」と語る彼の笑顔を見ると、「良かったね」と返すのが精いっぱいだった。 (新貝憲弘)

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