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パリ 今でも「英語はノン」

2012年09月07日

 どうやらフランス人の不機嫌のつぼをまともに押してしまったようだ。「ここはフランスですから、英語は通じません」。窓口の女性職員はいら立ちながら、こちらをみた。

 フランス在住外国人の頭痛のタネともいえる滞在許可の手続き。煩雑で融通が利かないのは分かっていたから、書類は完璧にそろえたつもりだった。が、保険関係で1枚、英語の書類があった。「1枚くらい」と言いたい気持ちを抑えて、わびた。おかげで窮地は脱した。

 フランス人の英語嫌いは昔ほどではないという。実際、抵抗なく英語を使う人はたくさんいる。ただ場合によって英語への対抗意識やフランス語へのプライドはあらわになる。

 英語が堪能なファビウス外相は最近の記者会見で、英メディアが英語で質問しようとしたのに対し、「ここはフランスだから」。窓口の女性と同じせりふで質問を遮った。

 オランド大統領は「英語は分かる。が、フランスの大統領はフランス語で話すべきだ」と就任後に宣言した。メキシコで先月あった記者会見では突然の英語の質問にもまったく動じず、意味を理解した上で宣言通りフランス語で答えている。

 世界の言葉として英語の存在感は大きくなるばかりだが、フランス人の対抗心もまだまだ生きている。

(野村悦芳)

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