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北京 ビジネス思わぬ所に

2012年10月16日

 今年の北京は「夏」が感じられない。本来はカラッとした天候が特徴だが、今年は日本の梅雨並みに雨が多い。気温も35度を超える猛暑日は数えるほどで、日本に比べれば過ごしやすいが異常気象なのは間違いない。

 観測史上最大の降雨量を記録した7月22日は、市内のあちこちで冠水や床下浸水となり、山間部では土砂崩れも起きて多くの死傷者が出た。中国メディアは被害が拡大した原因を検証する記事を相次いで報道、その多くが北京の排水設備などインフラ面の問題を指摘、日本や香港など降水量が多い都市の排水対策を取り上げていた。

 確かに当日の実感としても一時は激しい雨だったが日本では珍しいほどではなく、むしろその後しばらくしても水たまりが残ったままなのが気になった。街中をつぶさに観察すると、排水口があっても位置が高くて用をなさないなど無駄な設備が目につく。特に以前から立体交差でくぼんだ所に水がたまって通行止めになりやすい問題点が指摘されているが、なかなか改善されない。

 一方、日本の最新技術を学びに来た中国の視察団が一番関心を持ったのは「雨が降っても水たまりが残らない街の排水設備」だったという話を聞いた。日本が中国に売り込めるものは思わぬ所にあるようだ。(新貝憲弘)