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ベルリン 信号坊や慌てないで

2012年11月04日

 東西ドイツ統一から22年のベルリン。東ドイツの数少ない名残に、歩行者信号機に描かれた人形「アンペル(信号)マン」がある。

 つば付きの帽子をかぶった男の子がモチーフで、青信号は腕を前に突き出して大股で元気よく歩きだす姿。赤信号は「ストップ」とばかりに両手を横に広げ、一転してきまじめな雰囲気を漂わせる。

 ユーモラスなデザインにカメラを向ける観光客も。キーホルダーなどのグッズは定番の土産で、日本にも専門店ができるほど。西ドイツの信号機に取って代わられるはずが「アンペルマンを救え」との市民運動で生き延びたエピソードも人びとを引き付ける。

 ただ、この信号坊や、かわいらしい風貌に似合わずせっかち。というのは「青」の時間がやけに短いのだ。わが支局から中央駅に向かう交差点のそれは特に短く、青になった瞬間に渡り始めても幅10メートル余りの道路の真ん中で赤に。この間5秒しかない。

 「短すぎる青信号」については地元紙も「走らないと渡れない」「お年寄りや幼児への配慮がない」と問題視していた。競争に明け暮れる資本主義の世界で、せめて東ドイツ生まれのアンペルマンぐらいはゆとりを見せてほしいと言えば、感傷的に過ぎるだろうか。(宮本隆彦)

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