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済南 一党独裁心は縛れず

2012年10月27日

 中国山東省の済南で反日デモを取材した。「日本人出て行け」「日本人は犬だ」と2時間連呼されると、2000人から罵倒された気分になった。日本語を話すと日本人だとバレるので、問い合わせの電話にも出ず、ひたすら一緒にデモ行進。「この中に日本人が2人いるらしいぞ」と、隣の男性がささやいている声が聞こえた時は生きた心地がしなかった。

 群集心理と片付けてしまえば簡単だ。日本を嫌いな中国人は多いが、参加者もすべてが反日ではない。デート中に途中から参加したカップルや「日本製品をボイコットしよう」と叫びながら「ウルトラマン」と書かれたTシャツを着ていたり、日本製のカメラを持った市民も大勢いた。

 そんな中、デモ隊の一部の青年が「日本に宣戦布告しろ」とあおった。すると、革命烈士を祭る公園で様子を見守っていたお年寄りが「戦争なんて困るのは庶民だ。ここでも前の戦争でたくさん死んだ」と、烈士の石碑を指さし青年と口論。散歩中の市民が「そうだ」とお年寄りを応援する一幕もあった。

 うちひしがれた気分で駅に戻るタクシーの中、ニック・ニューサのヒット曲「サチコ」がラジオから日本語で流れた。一党独裁の中国だが、一人ひとりはいろいろな意見を持つ。「中国」をイメージで決め付けるのは難しい。(安藤淳)

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