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ロンドン 場を和ますジョーク

2012年11月13日

 いささか旧聞に属するが、ロンドン五輪最終日でのこと。閉会式が午前零時すぎに終わり、五輪公園内のプレスセンターまで、報道用のシャトルバスに多くの記者が乗り込んだ。

 連日連夜の報道でくたくたの記者たち。支局の助手も終わったとの解放感に浸りながら、バスの揺れに身を委ねていたが、いっこうに着かない。気を付けて外を見ると、同じ場所をぐるぐる回っているではないか。

 記者たちが内心「運転手は何をやっているんだ」といら立ちながらも、無言でいたところに、ある英国人記者の携帯電話が鳴った。同僚に状況を説明する彼はにこやかに「今日が運転手さんの最初の勤務日に違いない!」。この言葉にバス内はどっとわき、殺気立った雰囲気は消えた。

 プライベートと公が背中合わせにある中での、気の利いたジョークだ。英国らしいエピソードだと、思っていると、こんな経験をした。

 自宅近くを歩いていた時に不意にくしゃみが出た。すると、生け垣を隔てた向こうから間髪おかずに「ブレス ユー」(お大事に)と女性の優しい声。

 英国でのくしゃみをした際の習慣だが、姿も見えぬ他人からの言葉に、なんとも言えぬユーモア精神がにじみ出ているようで、思わずほおが緩んだ。(有賀信彦)

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