2012年11月07日
ロシアに赴任したり、留学したりした日本人が驚くことの一つに、ごみの分別がある。プラスチックや紙、生ごみなど数種類から20種類前後まで細かく分けてごみを出す日本のような習慣は、ロシアにはない。電球や酒瓶、衣類も、スーパーの袋などにごたまぜに入れ、ダストシュートにポイ捨てである。
住民からすれば、とても楽だ。広大な土地を持つロシアでは、ごみの埋め立て地に困らないのだろうし、エネルギー輸出国だから、資源再生というような意識が生まれないのかもしれない。
そんなロシア人にも分別の意識が芽生えたのかと思わせる出来事があった。今春、モスクワ北東部にある「ヘラジカの島」と名付けられた市民森林公園に、4種類を分別するごみ箱が登場。公園内の道沿いなど200メートルおきに設置された。
ところが先日、取材のついでに立ち寄ってみたところ、多くのごみ箱でごみがあふれ、周囲にも山積み。生ごみからは異臭も漂い、公園がきれいになるどころか、逆の状況になっていた。
当局に聞くと、ロシアには資源ごみ回収業者がいない上に一般ごみの収集業者選定にも手間取って決まらず、ごみを放置せざるを得ない状況だとか。先を考えてないというか、このゆるい感じが、ロシアらしいと言えなくもない。(原誠司)