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北京 あえて記事にします

2012年11月20日

 日中国交回復四十周年を記念した学術シンポジウムが北京で開催された。折しも尖閣諸島の領有権問題で中国では連日デモが行われており、シンポの開催も危ぶまれたが何とか中止は避けられた。

 皮肉にも会場は日本大使館向かいのホテルで、当日は朝から数千人規模のデモ隊が大使館に抗議活動を続けていた。デモ隊のシュプレヒコールは会場までは届かなかったが、日中双方のあいさつも尖閣問題で緊張している両国関係に触れないわけにはいかず、微妙な空気が流れていた。

 そんななかシンポの取材をしていると、中国側の主催関係者が突然「今日の事は記事にしないでください」と言ってきた。理由を尋ねても何も答えずとりつく島もない。

 理由は容易に想像できる。目の前で「対日宣戦だ」などと過激な文句も飛び交うなか、デモ隊がシンポのことを知ればどんなとばっちりを食うか分からないからだ。

 しかし、両国とも日中関係に長年携わってきた人たちが集まり、日中関係のあり方が問われている時に取る対応だろうか。言葉は悪いが「臭い物にフタ」の対応は出席者にも失礼であり、いっそ中止にした方が良かったのではないか。

 出席者たちが真面目に議論した「日中関係をいかに改善させるか」は誰に伝わったのだろうか。 (新貝憲弘)

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