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ソウル 意味深なチョコパイ

2012年11月26日

 北朝鮮の労働者は残業代や成果給にお金よりもチョコパイを好む。北朝鮮・開城(ケソン)工業団地に入居する韓国企業の団体が最近の報告書で指摘していた。

 お金の場合、ピンハネも理由だろう。ソウル在住の脱北者らの話では、韓国産のチョコパイは食べずに持ち帰られ、国内で貨幣代わりに流通している。

 北朝鮮は昨秋、水害支援で韓国政府が準備したチョコパイを拒否した。北朝鮮にない味で韓国の優越性が伝わり、体制不信を招きかねない「甘い誘惑」を警戒したらしい。韓国映画「JSA」でも、チョコパイをほおばる北朝鮮兵に親しくなった韓国兵が冗談っぽく「南に来ないか」と誘う場面は有名だ。

 甘い物嫌いの知人の韓国男性には例外がある。兵役中、毎週日曜に教会の礼拝通いを欠かさなかった。理由はチョコパイをもらえるから。「軍隊生活は本当に疲れて甘い物に飢えた」。今も思い出の味に手が出るのだ。

 大手製菓会社の商品の箱や袋には漢字で「情」と書いてあり、目を引く。「分け合って一緒に食べるイメージを狙った」という。南北の人の心を揺さぶる民族的お菓子に絶妙な一文字だ。中国でも販売しているが、漢字はなぜか「仁」の字に変えている。「情」は「中国では男女間の愛や恋、性的な印象が強いから」と聞き、おかしかった。 (辻渕智之)

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