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瀋陽 反日・・・意外な本音も

2012年11月29日

 中国で9月18日といえば、旧日本軍が中国東北部を占領する発端となった柳条湖事件の起きた日として代表的な抗日記念日。その日に事件の舞台となった遼寧省瀋陽市で反日デモの取材をした。

 取材を終えてタクシーに乗り込むと、手にしていたカメラに気づいた運転手が「何を撮影していたんだ」と尋ねてきた。下手にごまかすよりはと「デモの取材をしていた。日中関係の報道をしている」と答えると、運転手は記者を中国人と思い違いしたのか「俺も思うところがあるよ」と話しだした。

 「俺も日本人は好きじゃないが、共産党の反日教育はおかしい。日本と戦ったのは国民党だろ」「若者が愛国心でデモをするのは分かるが、行っても何の意味もないじゃないか」「日本車や日本料理店を壊すのは悪い。同じ仲間の財産に被害を与えてどうするんだ」とまくしたてる運転手に、苦笑して相づちを打つしかなかった。

 確かに「対日宣戦だ」など過激な言葉が飛び交ったデモだが、怒りや殺気は感じられずむしろ「イベント」を楽しんでいるかのよう。デモの現場を離れた街中は、何事も無かったかのようにいつもどおりの様子だった。

 運転手の言葉は、恐らく平均的な中国人の本音ではと思いつつ、さすがに「実は日本人です」とは言えなかった。(新貝憲弘)

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