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ロンドン 秋の味覚にそっクリ

2012年12月18日

 帰宅すると、妻の顔が青白い。昼食に「くりご飯」を食べた後、すぐに猛烈な吐き気と頭痛に襲われたという。「あまりに苦くて、ほとんど食べられなかった」と話したが、症状を見る限り、明らかな食あたりだった。

 秋が深まったロンドンの公園には、たくさんの木の実が落ちている。その数日前、妻が「知人にクリをいっぱいもらったのよ。おいしそう」と喜んでいたのを思い出した。

 おかしいと感じて調べてみると、予感は的中。クリではなく、若干の有毒物質が含まれている「CONKER(コンカー)」だった。形も色もそっくり。見た目では判別が難しいため、秋の味覚だと思い込んだようだ。

 コンカーは英国に古くから伝わる子供の遊び道具。各自がそれぞれの実を攻守に分かれてぶつけ合い、先に壊れた方が負けというゲームを楽しむらしい。

 大量の実をくれた知人に後日、クリと勘違いした今回の騒動を伝えると、説明不足をわびつつ大笑い。小学生の息子あての品だったが、聞けば、先の大戦では爆弾の火薬成分にも使われたという。

 妻の症状は大事に至らずに済んだが、そんな“劇物”を胃に収めたのは気の毒。ただ、関西出身の女だけあって、夫の同情にこう切り返す。「おなかがパチパチ言うてたわ」。今や近所中のお笑いネタだ。(小杉敏之)

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