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ロンドン のろけてすみません

2013年01月02日

 出張帰りに妻と待ち合わせ、ロンドン市内のライブハウスへ。お互いに仕事や子育てに追われてきたため、2人で夜の「デート」を楽しむのは新婚以来、17年ぶりだった。

 お目当ては、1980年代後半に世界的なヒットを飛ばした英国人歌手、リック・アストリーのコンサート。人気は一時的だったが、ディスコブームに沸いた当時の日本でもスターダムに。大学同窓の妻と恋愛期、ドライブ中の車内でヒット曲を繰り返し聞いた。

 夜7時の開場。場内はバーカウンターが2つあるだけで客席はない。少し遅れてフロアに入ると、小さなステージの周りには既に何重もの人垣が。客層は同世代の中年男女が大多数。どの顔にも「青春時代の再来」と書いてある。思いは、われわれと同じなのだと知った。

 開演を待つ1時間、主催者も80年代の“懐メロ”を流す粋な計らい。そのたびに歓声が起こり、波を打つ満員の場内。思わず歌詞を口ずさみ、体を揺らしていると、見ず知らずの客と目が合った。気恥ずかしさはまるでなく、時代を共有した仲間意識さえ覚えた。

 そこへ、いよいよ主役が登場。1曲目は最大のヒット曲「TOGETHER FOREVER(永遠に一緒に)」。ボルテージが頂点に達する中、最高の笑みで妻と顔を見合わせた。 (小杉敏之)

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