2013年01月01日
行きつけのスーパーへ買い物に行くと、店先で10人ほどがプラカードを掲げながらビラを配っている。ストだ。カリフォルニア北部を中心に展開する中堅のスーパーで、ストは戦前の創業以来初めてのことだという。
ビラを1枚もらって入店しようとすると、小柄な女性組合員が駆け寄ってきて家内に抱きついた。隣町の支店で働くアンジェラだ。互いに「やあやあ」とあいさつを交わして、スト中でも険悪な雰囲気はない。
クリクリした目の彼女がせきを切ったように説明するには、会社は店の改装や新規開店には熱心なものの、職員の休日手当や健康保険、退職金はお粗末なものだという。
わが町の店には組合員が少なく、彼女も含めて他店から応援が来ていた。知り合いの店員の20代の長男もプラカードを持っていたが、ほとんど1人で秋晴れの空を見上げていた。家族ぐるみだ。
現金輸送車が到着し、売上金が入った袋を回収していった。誰かが「袋がすごく小さいぞ」と、スト効果があったことを言うと、周りから「ワォーッ」と歓声が上がった。
通りすがりの車がクラクションを短くプッ、プッ。「頑張れよ」の合図。組合員数人が「サンキュー!」。
和やかなスト現場とは裏腹に、団交は連日深夜に及んでいたらしい。 (岡田幹夫)