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ベルリン 中間層を育ててこそ 

2013年02月02日

 欧州の街を歩くと、中国人観光客の多さに驚く。ここベルリンでも、ブランデンブルク門などの観光スポットでよく聞こえるのは日本語より中国語だ。

 中欧のプラハでは両替店の店先に「人民元両替します」の貼り紙が目についた。控えめな立ち居振る舞いの日本人と比べ、彼らのそれは自信に満ちて見える。20年来の低成長にあえぐ日本と、過去10年で経済規模を5倍にした中国との勢いの差は歴然としている。

 ただ日本人が優勢な空間もある。ベルリンのコンサートやオペラに現れる東洋人はほとんどが日本人だ。先日立ち話をした年配の日本女性は「音楽を聴くために旅行している」と話していた。

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が4年前に始めたインターネットの鑑賞サイト「デジタル・コンサート・ホール」は売り上げの21%を日本が占める。本拠地ドイツの23%に迫り、米国の15%を引き離す。経済規模で日本を上回った中国は「数えるほどしかない」(ベルリン・フィル)のが現状だ。

 クラシック音楽を楽しむには、ある程度の余裕と教養が必要だ。先述の数字は、戦後日本がクラシック音楽を日常的に楽しむような分厚い中間層を営々と育ててきたことを示している。日本再生の処方箋は、この中間層の維持・拡大にあるのでは。 (宮本隆彦)

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