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済南 紙幣を見たら疑え?

2013年03月01日

 よほどだましやすそうな顔に見えたのだろうか。

 中国のホテルでは一般に、チェックインする際、宿泊代とは別に保証金を支払わなければならない。チェックアウトする時に返金される仕組みだが、出張で訪れた山東省済南のホテルでは、返金された300元(約4300円)の100元札3枚がすべて偽札だった。

 偽札は精巧で、その場では全く気付かなかった。北京に戻ってからタクシーで使おうとしたところ、「偽札だ」と突き返された。よくよく見ると確かに、紙幣が妙に奇麗だったり、透かしの毛沢東主席の顔が違ったり。

 ホテルなどには通常、偽札を鑑定する機械があるから、偽札と気付かずに渡したとは考えにくい。だが、取り返したくても、手間がかかる上、そのホテルで受け取ったという証明は難しい。

 北京の現金自動預払機(ATM)でおろした100元札からも偽札が見つかったことがある。この時も後から気付き、銀行で換えてもらえるかと思ったが、中国人の知人に「無駄だ」と止められた。偽札と気付かなかった方の負け。まるでばば抜きだ。

 あまりに偽札が多いため、商店などで高額紙幣を出すと、必ずといっていいほど本物かどうかチェックされる。ささいな不信であっても、気持ちはざらつく。 (佐藤大)