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ウォルフスブルク アイデア走る車の街

2013年03月02日

 ベルリンの自宅から西へ向かって2時間ほどアウトバーンを走り、フォルクスワーゲン(VW)の企業城下町ウォルフスブルクを訪れた。目当ては、本社工場に隣接する自動車テーマパーク「アウトシュタット(自動車の街)」だ。

 運河に面した広大な敷地に、車の博物館や、VWのほかにアウディ、ポルシェ、ランボルギーニといった傘下メーカーのパビリオンが点在。新車ポスターにモデルとして写り込む記念写真コーナーなど、楽しいアトラクションがある。

 オープンは2000年。ユニークなのは顧客に新車を引き渡す「晴れの場」として活用されている点だ。すてきなレストランや遠来の客が宿泊できる高級ホテルもある。新車との対面を行楽に仕立て、製品や自社への愛着を深めてもらおうというわけだ。12年には17万3000人が、ここでの受け取りを選んだ。ドイツで購入した4人に1人に当たるというから驚く。

 「冬にはスケートリンクをつくるなど家族向けの企画に力を入れている」と広報担当者。入園料は家族4人で38ユーロ(約4500円)と安くはないが、わが家を含め園内には子連れが目立った。

 日本同様に若者のクルマ離れが指摘されるドイツ。パークは未来の顧客育成にも、貢献しているに違いない。 (宮本隆彦)