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北京 自由にならぬ食事会

2013年03月11日

 知人の紹介である食事会に出席した。一般市民による政治的な集会が事実上認められない中国では、食事会の名目で政治改革や人権問題などを話し合う会合が増えている。レストランの個室には、中国内で知られた人権派弁護士や改革派知識人の姿もあった。

 しかし開催時間が過ぎても主催者が来ない。いぶかしんでいると、彼は「申し訳ない。今日は参加できなくなった」と息せききって現れた。自宅を出ようとしたところ、公安当局者から食事会に参加しないよう圧力を受けたという。

 さまざまな人権活動に関わる彼は、公安当局の監視対象となっている。主催者として出席者に説明するという理由で会場に顔を出すことだけは認められたが、レストランの外で待っていた当局者に伴われて彼は帰っていった。

 主催者がいない食事会が始まったが、約1時間後に彼は再び顔を見せた。驚くわれわれに彼は「いったん自宅に帰った後、当局者の目を盗んで抜け出してきたのさ」と笑い、何事も無かったかのように司会を務めた。

 とはいえ彼のようなケースは珍しい。この日は外出自体も許されず、軟禁状態に置かれた人もいた。たかが食事会といえど、出席できるかどうかは当局の胸三寸次第という状況はいつまで続くのだろうか。 (新貝憲弘)

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