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黄南 理解唱えるのなら…

2013年04月04日

 「事前の連絡がなければ、取材は認められない」

 チベット族の焼身自殺が続発している青海省の同仁県に取材に行った時のこと。焼身自殺者の遺族に会って話を聞いたところで、同県の役人がやってきた。役人は「厄介者がきた」と言わんばかりにまゆをひそめ、誰やらと携帯電話でやりとりし始めた。

 地元の公安局まで車で運ばれ、いかつい顔の警察官に事情を聴かれることになった。なぜ取材に来たのか、どのような手段で来たのか。根掘り葉掘り聞かれた後、記者証をコピーされた。手荒なまねはされなかったが、有無を言わせぬ口調。同仁県にとどまることは許されず、別の街に移らざるを得なかった。

 報道の自由が制限されている中国でも、北京五輪をきっかけに「取材相手の同意を得れば取材できる」という措置が取られるようになった。しかし実際には、当局が「敏感な問題を抱えている」と考えている地域では、取材の事前申請を要求される。このような地域で申請をしても認められることはまずない。

 習近平総書記は昨年11月の就任会見で記者団に「中国はもっと世界を理解する必要があり、世界ももっと中国を理解する必要がある」と呼び掛けた。だが、取材がかなわぬ場所が多くては、理解を深めることは難しい。

 (佐藤大)

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