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モスクワ 日本復活?春の息吹 

2013年03月30日

 まったく主観的な話である。最近、モスクワで「日本製」が復活してきているような気配を感じる。朝食用の食材を買いに行く時にいつも寄る、自宅近くの大型専門店街の家電販売店での話だ。

 1年半前の赴任当初、店頭ショーケースで多くの面積を占めていた日本製の携帯電話やパソコンは、見る見るうちに韓国や中国製に取って代わられた。それがここ1カ月ほどで息を吹き返しつつあるように思える。携帯電話でいえば、ソニー製だ。まだ韓国サムスン、米アップルには及ばずショーウインドーの端だが、はじき飛ばされないように足を踏ん張り、ライバルを押し返そうとしているようにさえ見える。

 最近の円安や「アベノミクス」の効果なのか。「通貨安競争」が主要議題だったモスクワでの2月のG20共同声明で、円安につながった日本の金融緩和策は、名指しで批判されなかった。ソウル帰任を間近に控えた韓国の投資銀行員の友人と飲んだ時、彼は「日本が息を吹き返すのは間近かも。僕が帰るのに後任がいない(支店閉鎖する)のも、そんな影響が早くも表れた形ではないか」と言った。

 円安の影響を素直に喜べない業種もあろうが、モスクワに住む日本人としては、日本企業復活の息吹を感じるのに悪い気はしないというのが、正直な気持ちだ。

 (原誠司)