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ナコンラチャシマ 夢と栄養満ちる学校

2013年04月02日

 きらびやかな大都会バンコクと対照的に、イサーンと呼ばれるタイ東北部は貧しい農村地帯が広がる。ここでは育ち盛りの子どもに少しでも栄養をつけようと多くの学校が野菜や魚を育てている。

 取材で訪ねたナコンラチャシマ県のバーン・プラマカム・サマッキー学校ではナマズとキノコを育てていた。校舎裏手にはナマズを養殖する大きなかめが並ぶ。キノコ小屋では菌を混ぜたおがくず入りのペットボトルが横向きに積まれ、口からキノコが生えていた。

 「生徒の多くは貧しいので学校にご飯だけ持ってきて、昼どきにお手伝いさんがおかずを一品だけ作る」とアヌチャー校長。タンパク質が豊富なナマズは貴重な栄養源だ。キノコは先生と生徒が市場で売り、代わりに野菜や肉を買う。仏教の特別な日には農家から料理の差し入れもある。

 バンコクには子どもを実家に残して働くイサーンからの出稼ぎ者が多い。なじみの居酒屋の女性店員ターさんは「毎日、仕事前に子どもに電話して、学校での出来事を聞くのが楽しみ」とほほ笑む。店にはそんな母親が何人かいる。

 開発が遅れているイサーンで、学校は昔から「夢が持てる場所」と愛されてきた。たとえ満足に食べられなくても、周囲から温かなまなざしが降りそそぐ校舎は、心の栄養があふれている。

 (杉谷剛)

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