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北京 汚い声援もう二度と

2013年04月15日

 北京のサッカー場で、アジア・チャンピオンズリーグの「北京国安」対「サンフレッチェ広島」を観戦した。反日デモの残像が消えず、「日中戦でトラブルが起きないか」と心配もあったからだ。

 日本語を話さないよう注意しながら北京サポーターを観察。驚いたのは、彼らはほぼ2つの言葉しか発しないことだ。広島がボールをキープすると「ウー、ウー」。敵にプレッシャーを掛けているつもりなのだろう。

 もうひとつの言葉は、ここには書けない。中国語で人をののしる最も汚い言葉の1つ。北京チームに不利になると一斉にこの言葉を叫ぶ。普通は人前で話したら顔をしかめられるか、二度と口をきいてくれなくなる。だが観客席だと2時間叫び続けても許される。

 チームや選手を激励する声はほとんどない。試合よりも、汚い言葉でも気兼ねすることなく、叫べることが楽しいようだ。日本のように学校や地域のスポーツ、祭りが盛んでなく、子どもや若者が大声を出す機会が少ないからかもしれない。

 反日デモでも若者が喜々として、ののしり言葉を叫んでいた。サポーターの姿はデモ参加者と重なる。発散の場のない人たちに同情の気持ちもないではないが、金を払って汚い言葉を聞くのはつらい。もう二度と北京で試合を見る気になれない。(渡部圭)

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