2013年04月07日
タイ東部カンボジア国境沿いのサケオ県の学校を取材しての帰り道。ドライブインのトイレでしゃがみながら、われながらずいぶんタイ式に慣れたなあと、感慨にふけってしまった。
地方のトイレは日本の和式と同じタイプが多いが、用を足したら便器の横にある水槽からおけで水をすくって自分で流す。紙は流すと詰まる恐れがあるので備え付けのごみ箱に捨てる。最初はやや抵抗を感じたが、もう何ともなくなった。
渋滞時に便利な「モーターサイ」と呼ばれるバイクタクシーにも慣れた。バイクの後ろに乗るなんて若いときもあまりなく、最初は振り落とされやしないかと緊張したが、最近は汗ばんだ身体に風を心地よく感じるようになった。
ビールに氷を入れて飲むのもそう。タイの飲食店では店員がビールを注いでくれるところが多く、最初は氷を断っていたが、いまや氷なしでは冷えが物足りない。「冷たいことはいい」という南国の価値観に染まったのかもしれない。
タイ人がよく使う言葉にマイペンライがある。「気にしない、気にしない」といった感じで、よくも悪くも、おおらかで適当といわれるタイ人気質を表す。最近は出張先や旅先で困り事に出くわしても「マイペンライ」と心に言い聞かせている自分がいる。慣れとは恐ろしくもあり、楽しくもある。(杉谷剛)