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北京 時間同じでも意味は

2013年04月19日

  先日閉幕した中国の政策提言機関、人民政治協商会議(政協)の主席や200数十人の常務委員などを決める選挙を取材した。2000人を超える代表が、会議場の数カ所に設けられた真っ赤な投票箱にA4サイズほどの投票用紙を1枚ずつ入れるため、投票だけで1時間近くかかる。

 時間がかかるのは他にも理由がある。ほとんどの代表は投票箱の前に立つと記念撮影するからだ。政協委員はノーベル文学賞を受賞した莫言氏や映画俳優のジャッキー・チェンさんなど有名人も多く、名誉職的な意味合いもある。選挙もほとんどが落選者はいない事実上の信任投票。晴れ舞台に立つ喜びは理解できるが「投票後は速やかに席に戻ってください」のアナウンスが何度も流れたのは恥ずかしい。

 そんな中、今回の選挙では1票の棄権票が話題になった。ある政協委員はブログで、決められた候補者に賛成票を投ずるだけの方式に抗議して、すべての事案に棄権票を投じた委員がいたと指摘。棄権票を投ずるには300人以上の候補者すべてに印をつける必要があるため、この委員は数10分かけて記入したという。

 記念撮影と棄権票、いずれも時間をかけた行為だが、その意味合いはまったく異なる。この割合が逆転するのはいつの日だろうか。 (新貝憲弘)

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