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パリ フランス式深い日本

2013年04月16日

  まさかこんな所で「ねじ式」に出会うとは思わなかった。パリで開催される欧州最大級の本の見本市「サロン・デュ・リーブル」。会場の一角に日本のマンガ誌「ガロ」を紹介するブースがあった。前衛的なつげ義春さんの傑作「ねじ式」や白土三平さんの「カムイ伝」などを掲載した号が並んでいた。

 日本のポップカルチャーが浸透したフランスでマンガはまったく珍しくない。が、アングラの香り濃い「ガロ」のしかも1960、70年代の号だ。添えられたパネルで当時の日本の社会問題、事件が仏語で詳しく解説されている。ガロの独特の味わいとともに熱気とひずみが交錯する日本の「戦後」「昭和」を学べる仕組みだ。

 企画したのはクロード・ルブランさん。外交、国際問題のジャーナリストで、現在は日本情報誌「ズーム・ジャポン」の編集長を務める日本通だ。ガロは個人のコレクションの一部なのだという。

 「クール・ジャパンとして紹介される日本文化はまったく表層的なものでしかない。ガロは違う。ここには深く多様な日本がある」というルブランさんの説明に深く深くうなずいた。帰り際、近くパリで日本映画の上映会があるとルブランさんに教えてもらった。出し物は「仁義なき戦い」。フランスの日本通たちを尊敬せずにはいられない。(野村悦芳)

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