2013年05月21日
映画の世界に紛れ込んだようだった。人っ子1人いない通り。すれ違うのは、警察や消防車両に報道関係者だけ。
米ボストン・マラソンで起きた連続爆破テロの容疑者が逃げ込んだボストン近郊の街ウオータータウンには、緊急車両のサイレンと上空のヘリコプターの音だけが響いていた。地上ではマシンガンを構えた狙撃隊が1戸ずつ訪れては、大捜索を展開した。閑静な住宅街は、一晩にして、戦地のようだった。
深夜の銃撃戦以降、外の音におびえながら住民は家の中で1日中息を潜めた。
2人の幼い子どもを抱える母親は「ベッドの下で震えている」と緊張した様子を米メディアに語った。若い女性は「銃を用意して万が一に備えている」と。
その緊急事態の中、首からマシンガンをぶらさげた警察官が、牛乳が切れてしまった幼児がいる家庭に牛乳を届ける姿があった。
異例の大捜索にあたった地元警察を支援しようとニューヨークの警察官らが、車にバーベキューセットを持ち込んで駆け付け、ハンバーガーやホットドッグを振る舞った。
支援の輪は、報道陣にまで。容疑者宅のあるケンブリッジでは、朝早くから詰め掛けた記者らに、パンや水を配る住民もいた。
ありがたく頂いた。 (長田弘己)