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ソウル 歌王VS世界的スター

2013年06月11日

 63歳の「韓国の歌王」と、35歳の韓国発「ワールドスター」の対決が韓国で話題をさらった。

 前者は「釜山港へ帰れ」で日本でも知られる趙容弼(チョヨンピル)氏。後者は前作「江南スタイル」がコミカルなダンスとともに世界で爆発的に流行したサイ氏。2人が最近、ほぼ同時期に新曲を出したのだ。

 サイ氏の曲は米ビルボード誌チャートで5位まで上がって再び世界的ヒットとなったが韓国内のチャートは趙氏が1位を占めた。趙氏は10年ぶりの新作で、しかも「釜山港-」のような演歌でなく軽快なポップス曲。メディアは「まるで20代の声」と驚きを伝え、歌う姿も若々しい。

 私も40代に入り、腹回りも気になるだけに「見習わねば」と触発された。家から近いソウルの漢江(ハンガン)べりへ初めてジョギングに出掛けた。下流の1つ目の橋まで走ろう。そう思ったが、あえなく半分で息が上がった。

 歩き始めると、綿毛らしきものが舞っているのに気づいた。川岸の木々から晩春の風に漂っている。誘われるように2つ目の橋まで歩いた。ベンチに座ると、隣のおばあさんが木の名はネコヤナギだと教えてくれた。

 綿毛の正体は言葉でしか知らなかった「柳絮(りゅうじょ)」だった。これまでの人生で気にも留めなかった綿毛に心引かれた。年を取るのも悪くないか。 (辻渕智之)