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ロンドン スターは下町なまり

2013年07月01日

 サッカーファンならずとも、その名を一度は聞いたことがあるだろう。この5月に現役引退を表明した元イングランド代表主将のデービッド・ベッカム選手。スポーツの枠を超えた世界的なスーパースターだ。

 昨年、彼が少年期に暮らしたロンドン東部の家を取材で訪れた。2年前の英国暴動の震源地トットナムに近く、移民や労働者、貧困層が多い地区にある。ロンドン五輪のために整備された五輪公園は近隣だが、その一大開発から取り残された下町の長屋だった。

 配管作業員の父を持つベッカム選手はサッカーの英雄となり、有名女性歌手と結婚した。劇画から抜け出したような貴公子は富と名声を手にし、階級社会を色濃く残す英国で華やかに台頭。ロンドン郊外には“ベッキンガム宮殿”と呼ばれる豪邸が立つ。もはや、彼がかつて住んだ家に戻ることはない。

 道行く住民たちに聞いた。「ベッカムは別世界の人間ですか」と。しかし、多くの人が「まだ仲間だ」と口をそろえた。

 理由の1つはベッカム選手の言葉遣いにあるという。億万長者となった今も、地元の下町なまりで受け答えする。スターの素顔はなかなか分からないものだが、飾らない人柄なのかもしれない。階層を超えて愛される彼の人気がうなずけた。 (小杉敏之)

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