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ロサンゼルス 歌に込められた思い

2013年07月05日

 先の米中首脳会談の取材を終えて中国に戻る前夜、ロサンゼルスのリトルトーキョーで同僚たちと食事に出掛けた。仕事を終えた解放感もあり、日本食を味わった後は近くのバーで2次会というお決まりのパターンに。

 カラオケも楽しめるという店内は、異なるのは客が日本人よりも米国人が多いことくらいで、日本のどこにでもありそうな雰囲気だ。米国人もカラオケは好きなようで、お気に入りの歌を英語で歌っては盛り上がっていた。

 そのうち1人の黒人青年が、沖縄ゆかりの歌を日本語で歌い出した。沖縄独特の曲調と歌詞はわれわれでも簡単ではないが、彼の流ちょうに歌う姿は堂に入っており、同僚たちと感心しきり。聞くと沖縄駐留の米軍に配属されていたことがあり、その時に覚えたのだという。

 無口な彼は多くは語らなかったが、沖縄の曲を何曲も歌う姿から、沖縄に特別の思いを持っていることは十分伝わってきた。きっと沖縄の人もその思いに感じ入り、彼を温かく受け入れたのだろう。

 在日米軍、特に沖縄の米軍というと、兵士による犯罪や不祥事を連想してしまう。そんなステレオタイプ的な考えを恥じるとともに、思わぬ場所で1人の沖縄ファンに会えて素直にうれしく、心が温まった。(新貝憲弘)