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サングジャニ 貧しい子にも教育を

2013年07月23日

 村の小さな学校には机がなかった。それでも子どもたちは座った足の上で本やノートを広げ、目を輝かせて楽しそうに学んでいた。

 パキスタンの首都イスラマバード郊外のサングジャニ村にある私立学校を訪ねた。4歳の幼児から16歳まで約200人が通う。人口増加が著しいパキスタンでは国立学校が不足し、都市部を中心に授業料の高い私立学校が増えている。

 「数千ルピーの月謝も珍しくない。学校経営は今、一番もうかるビジネスだ」と地元記者。だが、村の私立学校は300ルピー(290円)~500ルピーと安い。

 「これ以上高いと学校に来られなくなる子がでてくるから」と経営者のラフィク・カーン校長(48)。「学校から帰ると働いている子もたくさんいる。その代わり先生の月給は国立学校の10分の1しか払えない」と申し訳なさそうに話した。

 校庭はなくコンクリートの狭い屋上が子どもたちの遊び場だ。アフガニスタン難民2世の小学3年生ワリー・カーン君は「友だちと遊ぶのが楽しい。でも勉強の方がもっと楽しい」と声を弾ませた。

 南アジアでは学校に行かずに働く子がたくさんいる。カーン校長は外でアルファベットの歌を大きな声で練習する子どもたちを見やって言った。「すべての子が教育を受けられる世界にしていかなければ・・・」(杉谷剛)