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ロンドン 英女王はトゲが魅力

2013年08月06日

 時として、人をドキリとさせる。ストレートな感情がトゲのある言葉や態度に出る。でも憎めない。6月に戴冠60周年を迎えた英国のエリザベス女王のことだ。

 先日、ロンドン市内のオフィスに面した通りで喫煙していると、女王を乗せた濃茶色の高級車が目の前を通過した。通行人の話では、近くの英BBC放送局に向かう途中だった。

 ほどなくしてテレビに映し出された女王は、スタジオで熱唱する女性ロック歌手の前に座っていた。気のせいか、表情がやや険しく見える。曲目を見て、ギョッとした。「私が女王なら」。曲が終わると、女王は拍手もせずに席を立った。

 続いて同局のラジオにも出演。報道によると、職員が贈り物として差し出したラジオを見て、女王が一言。「私にはラジオを聴く時間なんてないわ」

 これが日本の皇室発言なら、と思う。時と場合を考えての言葉だろうが、英国人の受け止めは好意的だ。実際、87歳となった今年の世論調査でも、67%の国民が「まだ女王でいてほしい」と好感を抱いている。

 王室に限らず、立場ある人ほど慎重な物言いに終始しがち。ただ、「社交辞令」は得てして退屈にも聞こえる。女王の素顔や本音は知るよしもないが、そんな意外性が人々の心に響くのかもしれない。 (小杉敏之)

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