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ザグレブ 首都「B」の国の支配

2013年08月02日

 民族、言語、宗教、国境線が複雑に入り組むバルカン半島。その付け根にあるクロアチアが7月、欧州連合(EU)に加盟した。

 首都ザグレブで市民に話を聞くと、EU入りをあまり歓迎していない。それどころか「わが国の良いところをEUに取られてしまう」などと被害者意識を持つ人が少なくない。不思議に思っていたら、旅の最後に聞いた小話で、他国の支配を繰り返し受けてきた歴史ゆえと合点がいった。

 それは「クロアチアは首都の頭文字が『B』の国に支配されてきた」というお話だ。

 クロアチアが10世紀に王国を樹立した後、最初に征服者としてやって来たのはハンガリー王国で、首都はブダペストだ。次いでハプスブルク帝国。首都ウィーンはクロアチア語でべーチュと呼ぶ。旧ユーゴスラビア時代はセルビアのベオグラードに牛耳られた。

 EU加盟でEU本部があるベルギーはブリュッセルの指示に従う身に。でもEUの本当の決定権はドイツの首都ベルリンにあるのは今や常識。で、将来は世界最大の経済国になる中国だろうけど、首都はベイジン(北京)でやっぱりB。

 このジョークには人口440万人という小国の悲哀が詰まっている。でも、それを笑い飛ばすしたたかさがあればこそ、この国は生き延びられたのだろう。 (宮本隆彦)

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