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コタキナバル 交渉に適した場所?

2013年09月11日

 マレーシアのコタキナバルで開かれた環太平洋連携協定(TPP)の交渉会合。コメなど重要5品目の関税維持を求める日本にとって「国益」がかかる重要な会合とあり、いかめしい雰囲気に包まれた交渉場所をイメージしていたが、会場に着き、目を疑った。

 海辺のリゾートホテル。すぐ目の前はオーシャンブルーが広がり、潮風が鼻先をくすぐる。交渉官を取材するためロビーで待ち構えていると、水着姿の家族連れやカップルが、ノートとICレコーダーを手にした渋い表情の自分をけげんそうに見ながら通り過ぎる。

 昼飯時、ホテルの敷地内で見つけたレストランはプールサイド脇。愛想の良い店員は自分の素性を知る由もない。持ってきたメニューはアルコール類が並ぶ。「ここで一杯やれたらな」。プールからの歓声に耳をふさぐように、水とカレーを腹に流し込んだ。

 「各国の担当者はよくこんな場所で交渉に臨めるよな」。記者からそんな声が上がり始めたのは実に自然なことだった。

 次回開催地はブルネイ。敬虔(けいけん)なイスラム教国のため酒類の販売などは厳格に禁じられ、コタキナバルとは雰囲気が一変するはずだ。年内妥結を目標に掲げるTPP交渉。交渉を加速させるにはふさわしい場所と判断したのだろうか。 (寺岡秀樹)

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