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バイロイト 生誕200年に工事中

2013年09月20日

 作曲家ワーグナーが設計したドイツ中部バイロイトの歌劇場で毎夏、彼のオペラを上演するバイロイト音楽祭。チケット入手には郵送で申し込みを続けて7、8年かかるともいわれる。ワーグナー生誕200年の今年、幸運にもチケットを手に入れ、勇んで赴いた。

 町の人口は7万人。音楽祭の1カ月間、世界中からファンが集う。そこかしこに生誕200年を祝うのぼり旗がはためき、雰囲気を盛り上げる。

 ところが、町はずれの丘の上にある築130年余の歌劇場にたどり着いてがっかり。正面の壁に工事の覆いが掛けてある。1年でわずか1カ月の晴れの舞台を避けられなかったのだろうか・・・。

 気を取り直し、ワーグナーの自宅を改装したワーグナー博物館を訪れると、何とここも工事中で一部を除き休館中。生誕200年の年に何をやっているのかとあきれた。

 問い合わせると、歌劇場は壁の装飾が老朽化で崩落の危険があり、博物館は増築の計画策定に時間がかかり着工が遅れた結果という。「記念の年に両方が工事中となり、多くの批判を受けました」と歌劇場の担当者。そりゃそうだろう。

 ただ場内には工事の影響はない。観客が舞台に集中できるようにとワーグナーが工夫を凝らした歌劇場の雰囲気は十分に堪能できた。 (宮本隆彦)