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バンコク 「悲劇二度と」思い共通

2013年10月04日

 バンコクで8月、タクシン元首相の復権に反対する複数の団体が「国会審議を実力で妨害するのでは」という観測が広がった。政府は審議の1週間前から国会周辺に大量の警官を配置、ものものしい雰囲気に包まれた。地元紙にはデモ隊と警官隊の衝突を示唆する見出しも躍った。

 「タイでまた緊張が高まっているみたいだな」。気にした本社のデスクが電話をよこした。タイは7年前からタクシン派と反タクシン派が対立して数万人の市民や農民が参加するデモが頻発。時に騒乱や衝突に発展した過去があったからだ。

 2008年には反タクシン派が空港や首相府を占拠、タクシン政権が倒れるまで続けた。怒ったタクシン派は3年前に首都で座り込みを続けて治安部隊と衝突、91人が死亡する惨事となった。

 だが、それ以降、騒乱はなく、2年前にタクシン派が政権を奪還しても衝突は起きなかった。デスクには「タイは以前と同じじゃない。デモ隊は簡単に衝突しない」と答えた。対立は依然あっても3年前の悲劇は繰り返さない。その思いが人々の間で広がっていた。

 当日は野党議員を先頭に約2000人が1時間デモ行進して解散、国会前はのんびりと静まり返っていた。緊張のほぐれた警官の列を撮影しているうちに、ほっとした気持ちに包まれた。 (杉谷剛)

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