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ベルリン 運転士も我慢しない

2013年10月09日

 ドイツの通勤電車は、日本の大都市のそれと比べ、格段に空いている。ベルリン郊外から毎朝、Sバーンと呼ばれる都市鉄道で街中の支局に通っているが、最も混む午前8時台でも隣の客と体が触れ合うことはまずない。悠々と新聞を広げて読むことができる。

 そんなゆったりした空気が伝わるのか、運転士の仕事ぶりもおおらかだ。運転台にほおづえを突いたり、携帯電話で話したり。日本では決して許されない態度をたびたび目にする。先日は地下鉄が運転席のドアを開けたまま駅に走り込んできて驚いた。支局助手の女性(39)に聞くと、暑い夏場には、よくある光景という。

 運転士に驚かされたことはほかにもある。

 ある日助手が「Sバーンが遅れた」と遅刻してきた。聞くと、彼女の後から駆け込み乗車した男がドアに体を挟まれて腹を立て運転士に文句を言った。すると怒った運転士は「謝罪があるまで列車を動かしません。謝らないなら警察を呼びます」と車内放送で宣言。すったもんだで20分ほど停車したままだったという。

 ここまで毅然(きぜん)とした運転士はドイツでも例外のようだが、日本なら「ダイヤ最優先」「客が悪くても乗務員は耐え忍べ」という価値観が相場。「運転拒否」は想像すらできないのではないだろうか。 (宮本隆彦)

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