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ロンドン スターと温めた親交

2013年10月10日

 子供のクラスメートの親が、たまたまサッカーの世界的なビッグネームだった。最近、そんな話を日本企業のロンドン駐在員から相次いで聞いた。

 「息子の学校の父母会で、真後ろにいたのがベッカムだった」。あるいは「幼稚園のお迎えに来るアンリをよく見るよ」など。

 だからといって、親同士が親密になるわけではないようだが、過去には家族ぐるみでスターと親交を深めた日本人も。先日、知人が友人女性の秘話として教えてくれた。

 相手は2006年から4シーズン、ロンドンに本拠を置く強豪チェルシーの主力MFだったミヒャエル・バラック選手。既に引退しているが、当時は同じ学校に通う子供同士が仲良しだったため、学校外でも両家の行き来が続いたという。

 ファンにはうらやましい限りだが、女性はサッカーのことをほとんど知らなかった。もちろん、バラック選手の偉大さも。最初から「色眼鏡」で見ない分、自然な形で交流が始まったに違いない。

 出会いは別れの始まりでもある。女性は夫の帰任で日本に戻る際、思い出としてバラック選手にサインを求めたという。しかし、彼は「あなたにサインはしない」と答えた。

 「それよりも」と行ったのは、心のこもった抱擁。話を聞くだけで親愛ぶりが伝わった。 (小杉敏之)