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西安 18年で変わった古都

2013年10月11日

 18年ぶりに中国陝西省の省都、西安を訪れた。唐などの都が置かれた古都が経済発展でどう変貌したか、楽しみにしていたのだが、まずは「変わらぬもの」に出迎えられた。激しい交通渋滞だ。

 西安では、城壁に囲まれた中心部への出入り口が限られているほか、旧跡が多いため大規模な道路の拡張ができず、交通量が多いのに片側1車線なんていう場所も多い。前回も閉口したが、車の所有者が増え、さらに深刻な状況となっていた。

 予定より2時間遅れでホテルに入り、夕食のため食堂街へと向かった。堅めのパンが羊肉スープに浮かぶ「羊肉パオモウ」も、きしめんの何倍もの幅広めん「ビャンビャンメン」も当時と変わらぬうまさ。ウイグル名物のニンジンピラフや羊肉串焼きは、年を取った分、脂っこく感じた。

 味は同じでも、値段はすっかり変わっていた。羊肉パオモウは当時、大盛りが2~3元(現在は1元=約16円)で、学生の貧乏旅行にはありがたい存在だった。いまは小ぶりのおわんでも1杯20元。いずれのメニューも、10倍近く値が上がっていた。

 夜には、観光名所の鼓楼や城壁が鮮やかな電飾でライトアップされていた。古都というより、テーマパークにいる気分。かつての、夜の闇にぼんやり浮かぶ鼓楼が懐かしく思えた。 (今村太郎)