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北京 座り込み続ける理由

2013年10月25日

 北京にある中国外務省の東門前で、2カ月ほど前から座り込む年配の人たちがいる。その多くは地方から上京してきた陳情者。中国政府が国連に提出するためまとめた人権報告書について情報公開請求した返事を待っているという。

 代表の女性は「私たちの現状を少しでも報告書に盛り込んでほしいから」と座り込みの理由を説明する。強い日差しを街路樹で避けながら折り畳み椅子や新聞紙を広げてじっと待つ姿は痛々しいほどだ。しかし外務省側は「意見募集はすでにネットで行った」として彼女たちの要求に応える考えはなく、座り込みは長期化している。

 かつては役所の前で座り込みなどすれば即座に連行されたが、2008年の北京五輪を境に手荒な対応は影をひそめ表向きは「改善」された。しかし実際は立ち入り禁止のテープを張ったり、何の作業もしていないのに工事用の囲いを設けて座り込みできないよう妨害。警察からは「どんな結果になっても、自己責任だぞ」と脅しに近い警告で立ち退きを迫られるという。

 当局の対応は「排除」から「無視」に変わっただけで本質的には同じ。それでも陳情者たちは国連人権理事会で報告書が審議される10月まで「座り込みを続ける」と話す。まずはこうした状況を報告書に盛り込んでほしい。 (新貝憲弘)

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