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ロンドン 党首討論本場の熱気

2013年11月05日

 英議会で毎週水曜日に行われる、いわゆる党首討論を記者席で聴く機会があった。日本の議場と違い、驚くほど狭い。緑色のベンチシートに、与野党の議員が入り交じって肩を接している。

 野党労働党を率いる甘いマスクのミリバンド党首が、キャメロン首相を攻める。向き合う首相が間髪を入れずに答弁し、質問、答弁、質問・・・と矢継ぎ早。展開が速い。

 一番盛り上がったのは、たばこの喫煙率を下げるために包装パッケージの規制を強化する案を政府が突然、先送りした問題を取り上げた時。首相官邸に頻繁に出入りする与党保守党の選挙戦略アドバイザーが、米大手たばこメーカーとコンサルタント契約を結んでいたと追及するミリバンド氏に「アドバイザーとこの件を話したことはないのか」とただされ、キャメロン首相がやり返す。

 「ロビー活動のスキャンダルだと言いたいのなら、労働組合があなたたちの政策も議席も、リーダーシップすら買収しているではないか。これこそスキャンダルだ」

 議場は「イェーイ」やブーイングがこだまして騒然。見ている側には結構おもしろい。

 日本の党首討論のモデルといわれる英議会の「クエスチョンタイム」。民主主義の長い伝統を感じる。 (石川保典)