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バルセロナ 王位継承戦争の産物

2013年11月19日

 「1714 2014」。スペイン東部バルセロナの中心街。2つの数が大きくデザインされた不思議な垂れ幕があちこちにある。ホテルで聞いて意味が分かった。スペイン王位継承戦争でバルセロナが陥落して来年で300年。年号で特別な年を告知しているのだ。

 郊外の古城跡を訪れる。ガイドが自慢げに「ここは300年前のあの戦争でも落ちなかったのです」。またもスペイン王位継承戦争だ。欧州列強が参戦し、最後は内戦化したこの戦争。どれだけバルセロナの人の心に刻まれていることか。

 バルセロナを都とするカタルーニャは1714年の9月11日、スペイン国王軍に降伏した。独自の言語、文化を持つ民族はここから自由を大幅に失う。今では9月11日は屈辱を忘れないための記念日であり、独立デモの日にもなっている。

 スペインと英国の領土紛争の地、ジブラルタルもスペイン王位継承戦争の産物だ。ジブラルタルは1713年に結ばれたこの戦争の講和条約ユトレヒト条約で英国領になった。

 今年が300年目。昨年取材で訪れた際「節目の年は返還運動などで、緊張が高まるはずだ」という住民の懸念の声を聞いた。予想は当たり、両国艦船がにらみあう事態に。遠い昔としか思えない300年前の戦争が欧州ではまだまだリアルだ。 (野村悦芳)

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