2013年12月04日
英国人を外国人に理解してもらおうと、ユーモアを交えて作られた絵本に、こんな1コマがある。
ロンドンのテムズ川でおぼれている男性が、犬と河畔を散歩している紳士に叫ぶ。
「ヘルプ!」
ところが紳士も犬もフン、と無視。そこで男性が言い直す。
「済みません。大変申し訳ありませんが、少しだけ助けていただくわけにはまいりませんでしょうか。もちろん、ご迷惑にならない限りで結構です」
すると、紳士が救命浮輪を投げ入れる-というのが落ち。相手の気持ちを害さない丁寧な言い回しこそ、英国流というわけだ。
この流儀を理解するために、オランダの会社が駐在員のために作った商談用のテキストがおもしろい。
「Quite good」は、文字通り「とても良い」と思いきや、真意は「いまいちです」。「とても面白い」も、本音は「つまらないですね」。
「You must come for dinner」(ぜひ、家にディナーに来てください)と言われたら、招待されたと真に受けてはいけない。社交辞令だ。
では、心から「とても良い」と言いたいときは?英国人によれば、全く同じ「Quite good」。声の調子や表情で違いを表すというから、余計にややこしい。
(石川保典)