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バリ テロの傷癒える日は

2013年12月16日

 世界有数のリゾート地、インドネシア・バリ島。太陽が思い切り熱したずっしりと湿度を含む南国独特の空気が心地よい。クタ・ビーチに近いレギャン通りには外国人観光客目当ての飲食店や雑貨屋がひしめき合うが、閑散としている。この街にとって午前10時はまだ早朝のようだ。

 その一角に2002年10月12日、深夜のディスコで発生した爆弾テロ事件で命を落とした犠牲者202人の慰霊碑がある。「グラウンド・ゼロ」だ。「爆心地」を指す英語だが、ここもまた、地名として定着していた。国ごとに犠牲者の名前が刻まれている。日本人犠牲者2人の名前もあった。このご夫婦の無念を思った。

 この島で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)には各国から首脳・閣僚が集まった。会議場を移動するたびに軍用銃を手にした完全武装の国軍兵士や警察官が何人も立ちはだかる。装甲車が頻繁に行き交い、武力を見せることで徹底的にテロを抑止する警備方針なのは明らかだった。「リゾート地らしからぬ」とは何度も聞いた。そうかもしれない。

 慰霊碑にいたバリ人男性は「油断してはいけないと1人1人の名前が教えてくれている」と話した。警備の厳しさはこの島が受けたテロの傷が消えてはいないことを痛切に感じさせた。 (斉場保伸)

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