2013年12月25日
文字通り、おいしい取材だった。世界各地の料理にまつわる逸話などを紹介するコーナーの取材で、ラオスの首都ビエンチャンに行き、ラオス風サンドイッチ「カオチー(フランスパン)パテ」を食べてきた。
1953年の完全独立まで仏領インドシナ連邦に編入されていた影響で、東南アジアのラオスにフランスパンが根付いている。カオチーパテはパンにひき肉などのペースト、パパイア、キュウリなどを挟み、魚醤(ぎょしょう)入りのソースをかけたもの。街中の屋台で売られ、地元の人に人気だ。
もともとフランス人が食べていたサンドイッチをラオス風に変えたもので、西洋と東南アジアの香りが融合した逸品。ほおばっているうちに取材を忘れるほどの美味だった。植民地時代にフランス人が食べていたサンドイッチも気になった。地元の専門家によると、牛のレバーを細かく刻み、水でふやかしたフランスパン、ニンニク、こしょう、塩、豚肉の脂身を練り合わせ、ローリエを加えて蒸し焼きにすると、パテの出来上がり。それをフランスパンに塗って食べていたという。
ここまで書き終えたら腹が鳴り始めた。こうなったら自分で作ってみよう。激動の時代にカオチーパテを生み出したラオス人のしたたかさを感じることができるはずだ。 (寺岡秀樹)