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ロンドン 寸分たがわぬ勘定を

2014年01月23日

 本当に正しいの? 英国の銀行窓口で現金を入金し、不安にかられてしまった。

 先日、娘が通う学校の父母会で、会計役を務める妻とロンドン市内の銀行へ。持参した現金は学校文化祭の売上金、6500ポンド(約100万円)余りで、20ポンド以下の小額紙幣とコインばかり。あらかじめ各種に仕分けし、総額などを記入した入金票とともに窓口の女性行員に渡した。

 すると行員は、紙幣の束を少しずつ「台はかり」の上に。コインは無論、札束も重さで金額を算出するのだ。

 前年の会計役から聞いてはいた。信用に足る立派な手段だと思うが、いざ目にすると「銀行に行く前に必ず自分でも数えて」との助言の意味が分かった。

 以前から窓口で「大丈夫なのか」と思う瞬間はあった。日本の銀行のように札束を扇形に広げ、こなれた手つきで勘定する行員を見たことがない。1枚ずつ手に取り、机に置いて数えている。

 別件の入金を小切手でした際には、本来「9」と書かれた末尾の数字を行員がうっかり「0」と誤読。金額を間違えたまま口座に入金された。知人によると、こうしたミスは珍しくない。対策は口座明細のチェックを怠らないことだという。

 さて今回は。「入金票の通りね。ご名算!」と女性行員。思わず同じ言葉を返したくなった。 (小杉敏之)